金属を切る(続)

前回に続き、薄板を切る方法の『その2 カッターナイフ・溝切り』法でのシム作りの続編。結果、オモワシく無かったのだけど、穴開けは大正解であった。

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カッターナイフと言っても普通のモノではない。かっ切って切るというか、溝を掘ってそこを折り目として『折る』ための専用カッターである。

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カギ(鉤)型の刃になっている『オルファ PカッターL型 205B』である。本来的にはアクリル板やプラスチック板をカットするために用いるモノであるけど、今回ムリヤリ金属、といっても柔らかめの銅だから、とやってみた。

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こんな具合に手前に引いて溝をつけていく。何回も繰り返す必要があり、ちょっとしたガマンが必要だった。柔らかいと言う先入観が強い銅だったが、意外と削れない。先に購入した板金バサミの切断許容板厚で銅はステンレス材と同じ0.8mm厚とあったのが気にかかる。。少し調べると手に入れた銅は『C1220P』という材質記号で、『りん脱酸銅板』と言われるモノ。銅の特性を少し変化させたモノのようだが純銅の範囲であるという。銅は加工による力を加えると加工硬化を起こすと言われている。そして材質の強さを表す引張り強さは普通鋼(SS400など)に比べては低いが、アルミに比べると桁違いに強い性質である。すなわち曲げ易いから柔らかいと思っていたが、意外と強いのである。

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だからであろうか、いやになるほどカッターを引いたが、削れたのはこの程度。たぶん板厚の1/4も削れていない。しかしこのまま続けるのも徒労に終わるような手応えだったので、たぶんダメだろうな、と思いつつ折り曲げてみる。

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木板のヘリを利用して上の平らな面を押さえつつ、折り曲げるも溝が有効な折り目になっている手応えも薄く、大きなRで曲がってしまう。仕方ない、こうなれば金属疲労で切れるまで上下に動かして、ムリヤリ切断であった。

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一応、直線では切れているが、お世辞にも奇麗な切断面ではない。まだ慣れない板金バサミで切った方がマシな状態。
と言う事で『カッターで溝を作って、折って切る』方法は早々と封印である(少なくとも銅材では)。

さて、これら作業というか製作目的は『扉ヒンジのシム』である。従ってヒンジを取付けるためのビスをカワす穴開けが必要。次なる課題は『薄板に穴をキレイに開ける』方法である。これも考えて対処しなくてはキレイに開けられないのである。普通のドリル刃ではすぐにドリル先端が貫通してしまい、穴が開く前に全部の刃先が板厚を通過してワークを回転させてしまう。さもなければ円形でないいびつな穴が開くのがオチである。
ここは調べて薄板専用のドリル刃があることを突止めた。

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いわゆる刃先を『ローソク研ぎ』したドリルである。ローソク研ぎとは、先端の形状がローソクのように中心部だけが盛上がっている形になっている。

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左が一般的なドリル刃。確か118°か120°くらいの角度で全体が尖っている。それに対して右側のローソク研ぎはこんな状態でもっともっと鈍角でワークに当たることになる。一応その中心部の尖ったところが穴のセンターになるから、ワーク側には普通にセンターポンチで位置決めしておく。

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で、開ける方法はこのドリルッパ (ドリル刃)を使って電動ドリルで行うとする。持っているボール盤は軸の振れがひどくて丸い穴のハズが三角形で開いてしまうから。

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故にワークは頑丈に固定して行う。
しかし実際やってみると、ドリルが回るとともにその軸芯も揺さぶられてどうにもコントロールできない。開いた穴は三角形ではなかったが、キレイな穴というワケでもなかった。しかしその程度のアバレであったので、このドリルッパの真価を垣間見た感触ではあった。軸芯の振れは手ではどうしようもないから、まだマシなボール盤でやってみる気になった。

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ただ、ボール盤を使う場合は先に述べたようにワークの回転に気を付けなくてはいけない。ワーク全体をクランプで固定するなら良いが、今回のような穴位置をキチンと決める場合はどうしても手で押さえる行動を取ってしまう。仮にその状態でワークが動くと薄板であるから鋭利な刃物が手に当たると同然だ。であるからワークが回転しないように回転方向に当たるようクランプなどでブロックしておく。

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こんな具合にね。刃物プロテクト性の高いグローブをすれば良いんじゃないか? と思われがちだが、回転する工作機械を扱う時は手袋系は御法度なのが基本。軍手などの手袋がかえってドリルなどの回転物に絡まって、重大なケガになる可能性が高いからだ。
で、この薄板用ドリルをセットして軸芯振れが出ていたこのボール盤、なぜか今回は振れもなく軽快に回っている。ローソク研ぎの先端形状であるから軸振れ方向の分力が小さいのかもしれない。久しぶりに役に立ったボール盤である。

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希望通りキレイな穴である。開けて行くスピードにコツがありそうなのだけど、よく掴めずに終わってしまった。

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裏側に多少のバリが出るが、このバリ取りを使ってグリグリと穴の中で回転させるだけでバリが取れる。

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というワケで『シム』の完成である。まぁまぁイメージに近いモノが出来たと思う。職人には笑われてしまうが、素人が考え考えに道具を選んで時間をかけて作ったモノである。これもひとつの経験。次にはさらにウマく出来る余地たっぷりで通過である。

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