PoserでSSS

SSSという文字を見て、年配の車好きな人にはブルーバードSSSを連想するかもしれないが、ここでいうSSSとはSubSurface Scatteringの略称で、Subsurface=表面下の、Scattering=分散、拡散する、ということ。



3DCGのレンダリング表現をリアルにする手法のひとつであるが、主に有機物に光が当るとその光 全部がその表面から反射されるのではなく、一部は表面から浸透し有機物の内部組織で拡散される。その拡散された光が外に現れる。すなわち内部組織の色合いを持った光が弱いながらも見える、ということだ。
ちなみに有機物とは炭素原子を基本骨格とする化合物、という定義であるが大雑把に言って生体と言ってもいいだろう。その生体の組織=細胞は概念的には極薄いので半透明以上の透明度がある。すなわち光を透過するのである。
ご自分の手を見れば判る通り、皮膚下の静脈も見えるハズだ。
皮膚を透過した光は、密集した細胞により複雑に反射し、拡散された状態になる。このSSSの表現力を説明するのに、太陽に手をかざすと血の色に近い赤く透けて見える、という現象を表現する、とよく言われる。或は人物の肌のリアル感が増す、とも言われている。

で、Poserにもこの機能があるので、やってみようと。。 Poserのマテリアル・ルームのドキュメント・ウィンドウ右端に各種設定ボタンがあるが、その内の『表面下分散の追加』がそれに相当する。


あくまでも『相当する』であり、どうやらPoserのこれは純粋な意味ではSSSとは言えないようだ。このSSSはレンダリング時の物理計算に大変なボリュームが発生すると想像できるが、Poserではあっさりとレンダリングできてしまう。擬似的なSSSと言える。それ故にこの『表面下分散の追加』で現れる各種パラメーターの調整代は少ない。


代替拡散に繋がる『散らす』の色、次に続くエッジブレンドの内外色の色と減少値ぐらいが弄れるところ。。これらの設定値は非常に微妙かつ複合的な掛け合わせになるので、好みの具合、というか物理的に適正なところに調整するのが難しい。たとえば自動設定のままにレンダリングした画像では、


こんな具合に、肌が発光しているかのようになってしまう。ライティングのチューニングによってもある程度は修正が可能かもしれないが、いかにも『SSS』ですヨ! と主張し過ぎている。
ではあるけど、それなりに肌の表現としては色気が出て来る(笑)。
この例はノーマル状態でライティングの設定がなっていない、のでことさらSSSのかかり具合が強調されてしまったようだが、『表面下分散の追加』のそのままの設定でも構図など工夫すれば、結構 良い感じのレンダリングにもなる。


これはFigureの正面からの照明に、弱めに背中を照らすライトを追加した状態だが、顔の部分は表面下分散の光の効果で暗くならずに済んでいる。

さて、もう少しこの効果を試すべく、例の『太陽に手をかざしてみよう』を実行してみよう。


こんな風に、『太陽が眩しい』といった構図から、カメラを反対側に回すと、


確かに手の部分は半透明風に透けている感じになる。でもここまで透け感があると骨まで見えてしまうのでは?と思わせるほどだ。(笑) やはりもう少し程度を調整したいところである。
といったところがPoserのSSSの印象であるが、本格的に肌の表現に適用するには色々と工夫が必要である。しかしながら簡便に適用できるシェーダであるので、人間の複雑な肌表現ではなく、静物に適用するには適当である。すなわちプラスチック質感などにはいいかもしれない。
たまたま、モデリングで『セィフティ・コーン』を作ったので、これに適用してみた。


比較し易いように同じ形状、質感のセィフティ・コーンを用意し、左側のコーンにのみ『表面下分散』を適用してみた。光が当る側からレンダリングすると、未調整であると若干物体発光ぎみになるが、これを裏側から見るとリアルである。


右側が適用したモノだ。実際のコーンを観察すると、このように薄い厚さの樹脂は受光の反対側でもその光が十分行き届いているのが判る。に対して左のコーンは完全に無機質で光を吸収・拡散しないから影ができるだけである。この差は大きい。透明度の調整では実現できない、全く別物の表現方法である。このようなレンダリング結果をライティングによる補助ライトの使用でも可能かもしれないが、特定の対象物のみをこのようにするには、有用なシェーダではある。

かようにPoserのレンダリングは、それなりの表現力を備えているが、昨今の他の3DCGアプリに比較して、本格的でもなく表現力の限界は浅いところにある。反面、ハードウェアに対する負担が少なく、レンダリング・スピードに不満は少ない。痛し痒しの狭間ではあるが、現状ではそれらを適材適所にうまく使うことと、ライティングによる表現力の工夫、がPoserには一番効果的なのかもしれない。

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