New MacBookについて

この14日(現地カリフォルニア時間)に発表された新しいMacBookについて、感じたことを。実は密かにタブレット型Macの登場を期待していたひとりではあったのだが、MacBookシリーズの全面的刷新であり、製造工程の新しさが目立つ。



ノート型のMacは、PowerBook G4を持つ身として、MacBook Airを見送った後のシリーズ刷新ではあるが、噂のタブレット型が発表されなかったので、ことさら購入意欲は高まらないでいる。
ノート型のコンピューターを所有する一番の意義は可搬性であり、持ち運んだ先での操作が可能である点と思っているが、自分の使用環境では、その持ち運び先は会社に限定されている。その会社で使う、という点からその大きさ、重量はそれほど大きなファクターではない。鞄に入れ、それを車に搭載して移動するし、会社の机に置いてしまえば1日中そのままである。
会社の環境でもMacを使いたいという希望から、PowerBook G4を所有し、すでに7年半くらいの時間が経過した。ずいぶんと長く使っているパソコンと言える。
どれほどの稼働時間になったのだろうか、ちょっと計算してみた。
会社に到着して、帰るまでの間は電源を入れっ放しであるので、ウィークデーの一日当たり9時間となる。年間の出勤日数は244日である。

7.5 x 244 x 9 = 16,470 時間

となる。もちろんこの時間は電源が入っている時間で、操作している時間はたぶんこの半分くらいしかないと思う。それにしても約1万時間近くは稼働しているとみて良いだろう。



この7年半の間、機械的なイレギュラーは皆無であった。OSの変更は行ったが、HDD容量10GBのままでやり繰りをしてきている。


当時は15インチのサイズは大きい方で、持ち運びには不利と思えたが、先の記述の通り、車に搭載して移動するだけだから、その重さも大きさも気にならない。
快適に過ごして来たと言える。

が、さすがによる年には勝てないというか、そこそこクタビれてきてはいる。


チタニューム・ボディの角にクラックが入っている。大きな不具合はこれだけであるが、液晶パネルの跳ね上げ効果は早々に弱体化し、本体を押さえて開く状態だ。それ以外も外観上の汚れやキズが生じている。


外観の最終仕上げは塗装のようであるから、比較的柔らかい爪の当たりでも繰り返しの攻撃には塗装では保たない。。

さてさて、今回の新しいMacBookでの『売り』のひとつにユニボディという、切削工法によるボディ構造が謳われている。機械屋として興味のあるところであるが、Appleの謳う『全く新しい工法』という言葉には少々疑問というか、言い過ぎにも感じる。レーザー加工や機械加工機による切削なんかは工業製品では当たり前である。アルミ・ブロック材による削り出しも珍しいものでも何でも無い。


Appleのビデオ画像より

が、Appleの名誉のために少々付け加えるとしたら、アルミ・ブロック材(MacBookの場合は、アルミ厚板というべきだが)からの削り出しで、大量生産する、ことは稀であろう。それは加工時間が多くかかることと、大量のクズがコスト的に見合わないことが大きな要因である。
とにかくアメリカ人はアルミが好きである。軽量化と最終仕上げ工程の簡略化を目的に、なんでもアルミ材、という観念があるようだ。
かたや日本人の考えの中には、アルミ材=コストが高い、という観念があると言える。実際アルミの生成には大きな電力を必要とし、鉄の生産コストより高額である。従って削り出しで使わないでクズとなる量が多いと、使わないで捨てる、というもったいなさが先に立つ。
が、アルミは比較的リサイクルのサイクルが成り立っている金属である。削りクズをそのまま捨ててしまう、とは考え難い。そのクズも再び溶解され素材へと変換しているハズだ。
そのサイクルがコスト的にも、量的にも需要と供給側で支えきれているのなら、後は加工時間の長さのみが課題である。

その加工時間も考え方ひとつである。時間が長い=コストが高い、ではあるが、大量生産では機械加工は自動運転が常識の時代である。すなわち無人で1日24時間稼働をすることが生産現場では高い効率と考えられている。この切削で部品点数を減らせば、後工程での組立時間及び部品製作コストとの比較となる。
一般的に同一加工の一回の生産工程と、小部品の組立がある工程との比較は、圧倒的に一回の生産工程の方が有利である。加工機械など生産設備のフォローも加えれば、切削機械ひとつのメンテナンスで済むことからも有利である。


MacBookのユニボディ部の厚みは10mmくらいであろうから、切削工法による材料の無駄 (先の通り完全には無駄とならないが) もギリギリの分岐点であるかもしれない。これが20mm以上の厚み(深み)ならば、迷う事無くダイキャストにしてからの切削になるハズだ。


このダイキャストにしなかった点も考えさせられる。鋳造には素人であるが、ダイキャスト製の強度は引抜き材より劣るのかもしれない。とすればMacBookのボディ厚さをもっと厚くせざるを得ない。
これまでの情報の中で、ユニボディの部分は理解できたのであるが、裏面のカバー面の作りはどうなのだろう。


この部分が切削加工品だとは見えないのだが。。


矢印部などは小部品の結合と見えるのだが、良く判別できない。さすがにこのカバー部品の厚さまで厚板から切削しているとは考え難い。

Appleは製造工法の選択をギリギリの線で、切削を選んだのかもしれない。その方が筐体強度の設計に自由度が増し、いっそのこと組み付け部品をなくすことで強度アップも図ったともいえる。しかもそれを美しいと感じさせるほどの精度と共に。。


Apple 画像より

機械加工がメインであれば、精度を0.01mm台まで高めるのは容易である。この新しいMacBookはご覧の通り、ピッチリと出来上がっている。
所有しているPowerBook G4を同じように見てみると、


角Rが大きいことと部品点数が多い、塗装の厚み、組み付け精度などから、極少のスキがバラついている。今 見るとまるでブリキ玩具のようでもある。(この場合、経時変化もあるが、、)

Appleは良い意味で『拘り』のある製品作りをする。それによるコスト高も生じるが、それを所有する喜びに結びつける方策も加えてユーザーに訴えている。
いままではそれはデザインが良い、という評価に過ぎなかったが、これからは製品精度が心身ともに高い、という訴求になるのだろう。

Appleがハードウェアの製造・生産現場にも、より強い拘りを持つようになったこと、歓迎である。

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